今回は、犬の断尾について、尻尾を切る理由や断尾の歴史について詳しくご説明します。

トイプードルのしっぽはどうして他犬種と比べて短いの?と思ったことはありませんか?実は、トイプードルは生まれつき尻尾が短い犬ではありません。生まれてすぐに尻尾を断尾する場合がほとんどです。

じゃあなんで断尾するの?本来の尻尾の長さは?こんな疑問点にお応えしていきます!

トイプードルの尻尾を切る理由とは?

犬には200以上もの種類があると言われています。その中でも人気No1のトイプードルをはじめ、ウェルシュ・コーギー、ドーベルマン、シュナウザー、ヨークシャーテリアなど、”断尾の習慣がある犬種”は約50種類以上も存在します。

ではなぜそもそも断尾をする習慣が生まれたのでしょうか?諸説ありますが、一般的に言われている断尾の理由について説明していきます。

理由① 歴史的背景により受け継がれる断尾

ヨーロッパでは昔、犬のしっぽを切ることで以下のような効果があると信じられていました。

  • 狂犬病の予防ができる
  • 運動能力を向上させる
  • 怪我の予防になる

またジョージ王朝時代、1700年後半から1796年までは断尾をしていない犬には税金がかけらてしまい、税金を避けるために断尾していた時代がありました。

時代は終わりましたが、断尾の慣習だけは残ってしまいました。

理由② 医学的な目的での断尾

また犬は医学的な目的で断尾されることがあります。

  • 狩猟面
    狩猟犬として活躍していた時代、しっぽを振りながら深い茂みや藪の中を移動すると、植物などと接触して擦り傷を作り、そこから何らかの感染症にかかる危険性があったから断尾をした
  • 衛生面
    しっぽは肛門の近くにあることからウンチがつきやすく、衛生的に保つために断尾をした。
こんな理由も?

「しっぽの損傷を防ぐため」も断尾の1つの理由です。

犬同士の喧嘩や遊びでは、尻尾を噛みちぎったり、お互いに踏んでしまうことがあり、その怪我から感染症にかかるのを防ぐため、断尾をしていました。

理由③ 犬種標準と美容目的の断尾

国際的愛犬団体のジャパンケネルクラブはプードルの尻尾に関する基準を以下のように定めています。

■尾(テイル)

腰の高さにかなり高く付く。(トップラインと比較して「9時10分」の方向に掲げているのが理想的である)。

JKC犬種基準「プードル」

他にも以下のような特徴がある場合は欠点とみなされます。

  • 尾付きが低すぎるもの
  • 無尾のものや、生まれつき尾が短いもの
  • 完全にカールした尾

ドッグショーへの参加を考えている方は、断尾をしてしっぽの形を整えることが推奨されています。

また現代で多いのは「美容目的の断尾」です。「しっぽは短い方が理想的」という認識が広がり、断尾された状態で販売されることが一般的となりました。

小動物獣医師会による臨床獣医師に向けたアンケートでは、断尾を実施する理由として「業者や飼い主の希望・依頼」が1番多く挙げられました。

ぷーちゃん

尻尾にこだわりを持つ飼い主さんが多くなってきているみたいだね。

断尾しているトイプードルの見分け方は?

断尾しているかどうかを見分ける1番の方法はやはり「見た目で比べる」ことです。

こちらは断尾してないトイプードルと断尾しているトイプードルの比較画像です。このトイプードルちゃん達はまだ月齢2ヶ月ほどですが、長さにかなり差があるため簡単に見分けることが出来ます。

成犬トイプードルちゃんたちの尻尾でも比較してみました!成犬になると尻尾が成長するため、より見分けやすくなります。差はおよそ13cm!こんなにも差があるんですね。

どちらの尻尾もとっても可愛いですね!

しっぽの断尾方法

犬の断尾の方法について詳しく見ていきたいと思います。トイプードルを含む習慣的に断尾を行っている犬種はいずれも下記の手法で断尾を行います。

  • 切断して断尾する方法:結紮法(けっさつほう)
    外科的に尻尾を切断します。専用のハサミを用いて、数センチ切り落とす方法です。
  • 締め付けて断尾する方法切断法
    輪ゴムのような締め付けの強いゴムを、生後まもなくの子犬のしっぽに取り付けます。それを行うことによって組織を壊死させて、尻尾を脱落する方法です。数日後には自然としっぽが脱落します。

生後5日程度の子犬は感覚が鈍いため、ブリーダーや獣医師によって無麻酔で断尾が行われることがほとんどです。

一般的には、尻尾全体の2分の1の長さを切り落とします。しかし最近では、とても短い尻尾が流行っているため2分の1以上断尾するケースもあるようです。

しっぽの断尾は必要?

犬の断尾には賛成派と、反対派の方がいて、長年議論が尽きることはありません。現に日本では美容的理由での断尾は反対派の意見の方が多いですが、断尾に関する規制は何も定められていません。

なぜ、断尾の認識は人それぞれで変わってくるのでしょうか?賛成派、反対派それぞれの意見を見て行きましょう。

【賛成派】断尾をするメリット

  • 排泄物がおしり周りにつかないようになって清潔
  • しっぽの擦り傷が原因でなる感染症や病気を予防
  • 犬同士の喧嘩で噛まれることがない
  • 美容観点(人間側のメリット)

【反対派】断尾をするデメリット

  • 尻尾を切断することにより、平衡感覚能力の低下
  • 他の犬とのコミュニケーションを上手く取ることが困難
  • 幻肢通(失ったはずの尻尾に痛みを感じる)
  • 過剰な出血のリスク(断尾時)
  • 会陰ヘルニアのリスクが高まる

このように断尾にはメリットとデメリットの両方があり、一概にどちらの方がいいのかは言えません。そのため、世間の人々の断尾に対する印象を統一させることは簡単ではありません。

断尾が禁止されている国がある?

世界の国々の中には、断尾が禁止されているところがあります。特にイギリスでは、美容目的での断尾を厳しく制限する法律が定められています。

アジアは断尾を禁止している国は少なく、我が国日本でも法律による規定がないため、ブリーダーなどにより一般的に断尾が行われているのが実態です。

まとめ

いかがでしたか?断尾はメリットもあればデメリットもあります。

人間の勝手な行動だ!とあまり断尾についてよく思わない人は大勢います。逆にワンちゃんのためにと考え、断尾を決意する方も多くいらっしゃいます。どちらが正しいのかを判断するのは、なかなか難しいものです。

最近では断尾をしない販売店が増えてきているので、断尾についてお悩みの方はトイプードル専門のブリーダーにご相談ください!

尻尾が長くても、短くてもワンちゃんはとっても愛らしく可愛いです!見た目だけで決めるのではなく、思いやりのある正しい選択を、しっかり考えてあげることが大切です。